東京でキンモクセイの花が咲き始めましたね。
つい昨日、まだつぼみが固いのを確認した木々が、晴れて気温の上がった今日は、木いっぱいに黄色い小粒の花を咲かせています。
このキンモクセイの花について調べてみたところ、意外なことがわかりました。
1. キンモクセイの花にあるのはおしべだけ
4〜5mmのキンモクセイの花をよく見てみます。
花びらは4枚。つぼみからの咲き方を見ていると、どうも根元でひとつにつながっているようです。
そして、丸っこいおしべが花の中にふたつ。めしべはどこでしょう?
ちなみにおしべも花も同色なので、ミズヒキの花よりピントが数段合わせにくかったです!
2. 日本のキンモクセイはすべてオスである
図鑑で調べたところ、「雄株の花は、おしべ2個が大きく、めしべが発達しない」とありました。
花が小さくて見えにくいだけでなく、めしべはほとんどないようです。
そしてさらに。「日本では雄株のみ」。
キンモクセイは中国原産。より花が美しく香りが強い雄株のみが日本に入ってきて、挿し木で増えたため、日本には雄株しかないのだそうです。
3. したがってキンモクセイの花は実が生らない
雄株・雌株のある植物は、オスメス2本ないと実が生りません。キンモクセイの花は雄花ばかりのため、実は結ばないそうです。
下記のブログに、中国で撮影された「キンモクセイの実の写真」があります。なかなか見られない、珍しいもののようです。
【参考】(外部サイトへ)
・あった!金木犀の実の写真 〜中国桂林にて〜 - Totoronの花鳥風月
いつも咲いてから香りで気づき、花の季節が短いために幻のような花、キンモクセイ。実が生らないということは、人の手を経ないと増えない、自然に増えることはないということですね。
それが町のいたるところで咲いて香って人を楽しませているのだから、キンモクセイと人間は、実はもう長い共犯関係にあるのかもしれません。
そこまでヒトを魅了するキンモクセイの花と香りって、ちょっとすごいですね。
これまでキンモクセイを見てきて、「キンモクセイは1シーズンに2度咲く」のではないかと思ったことがあります。今年はしっかり観察して、確かめたいです。
Plants Data
キンモクセイ
和名 キンモクセイ(金木犀)
学名 Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino
英名 fragrant orange-colored olive
分類 シソ目モクセイ科オリーブ連モクセイ属
原産地 中国
備考 常緑低木、樹高2〜4m、胸高直径20〜30cmになる。雌雄異株で、日本では雄株のみ。花は9〜10月に開花し、香りが強い。日本には江戸時代に渡来した。花を白ワインにつけたものが「桂花陳酒」、花を茶に混ぜたものが「桂花茶」。静岡県三島市の三嶋大社境内に生育するウスギモクセイ(薄黄木犀)の巨木が、「三島神社のキンモクセイ」の名称で国の天然記念物に指定されている。
【参考】(外部サイトへ)
金木犀 花だより - 三嶋大社
【こちらもあわせてご覧ください】
・直径5mmのミズヒキの花は、紅白の十字形。
・観察すれば不思議がいっぱい。「おしべ」はどこだ!? 花の秘密
・キンモクセイ咲いた。
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