わっと咲いてパッと消えてしまうキンモクセイの花。一体どんなふうに咲いて終わるのか、近所のキンモクセイの木を毎日観察してみたら、いろんなことがわかりました。
花の命は約1週間
大体いつも、気がついたら花が咲いているので、キンモクセイのつぼみというものをほとんど見たことがありません。
今年は、「昨日の晩はまだつぼみだった」という最初の開花日を見つけることができたので、そこを起点に、毎日同じ枝を撮影してみました。
おしべ2コが大きく、めしべは発達しない
めしべは小さなものが、おしべの間にあります。おしべが大きいうちはよく見えませんでしたが、おしべがしぼんでくると見えるようになりました。
花は「4つに深く裂けている」
図鑑には「花冠は4深裂する」とありました。なぜ、「花びらが4枚」とはいわないのか?
ふしぎに思って見ていたらわかりました。たしかに、4枚の花びらに見えるものは全部つながっています。桜やバラのように、花びらが分かれてひらひらと散ることはありません。
花は軸ごと落ちて、あとには何も残らない
花びらがつながっているキンモクセイは、散り方も独特です。花は十文字の黄色いかたちのまんま、地上に落ちます。花を支える軸も一緒に落ちます。すると木には、花が咲いていたあとかたすら残りません。
つぼみもほとんど見せず、花が咲いたあとに実が実ることもない。ふわっと誰もがふりかえる強い香りをまきちらして、幻のように消えてしまう。
謎多き花ですが、よーく見ているといろんなことがわかった気がします。
また来年会えるのを楽しみにしましょう。
Plants Data
キンモクセイ
和名 キンモクセイ(金木犀)
学名 Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino
英名 fragrant orange-colored olive
分類 シソ目モクセイ科オリーブ連モクセイ属
原産地 中国
備考 常緑低木、樹高2〜4m、胸高直径20〜30cmになる。雌雄異株で、日本では雄株のみ。花は9〜10月に開花し、香りが強い。日本には江戸時代に渡来した。花を白ワインにつけたものが「桂花陳酒」、花を茶に混ぜたものが「桂花茶」。静岡県三島市の三嶋大社境内に生育するウスギモクセイ(薄黄木犀)の巨木が、「三島神社のキンモクセイ」の名称で国の天然記念物に指定されている。
【参考】(外部サイトへ)
金木犀 花だより - 三嶋大社
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