練馬の酉の市で、新しい熊手を手に入れてきました。
昔は、こういうおまじないアイテムをお店や仕事場に掲げる感覚って迷信深くて古くさいと思っていたのですが、最近ではむしろ好ましく思います。年をくって考え方が変わったようです。
酉の市・お酉様は、秋の収穫祭が発端
酉の市は、関東地方の鷲や鳥にちなんだ寺社の行事として、毎年11月の「酉の日」に行われる祭りです。年によって2回開かれる年と3回開かれる年があり、2016年は2回、11月11日(金)と23日(水・祝)に行われます。露店で華やかな「縁起熊手」が売られる、冬の風物詩です。
寺でも神社でも同じ祭りをやっているというゆるさが、日本らしくていいですね。もともと、収穫祭として15世紀初めに始まり、江戸時代の江戸でさかんになったようです。
木枯らしの吹き始めた11月、華やかな縁起物の熊手は明るく風景に映えて、気持ちをあたたかくしてくれます。「福をかきこむ」という意味がこめられているそうです。
縁起熊手のお値段は、こう考える
熊手は縁起物ですから、価格が高く感じる方もいるでしょう。
でも、原価がいくらだとか考えはじめることは、この場合、意味がありません。
たとえば、宝くじを買うとき、「このくじ、紙代と印刷代にいくらかかってるんだろう?」と考える人は、買わないですよね。
宝くじを買うとき、多くの人は「当たるかもしれないという夢」を買うんだと思います。ちなみに私は、とても当たると思えず楽しめないので、宝くじは買いません。しかし、知人が「もし一億円が当たったら」と楽しげに実に具体的に話してくれたとき、「なるほど!」と思いました。あれだけ楽しめるのなら、自分が納得したお金を支払う価値はありますね。
縁起物の熊手も、同じような気持ちです。
商売繁盛の熊手を買うことで、私は「さぁまた一年、働いて稼ぐぞ〜!」と、自分を鼓舞しています。部屋に飾った熊手を見るたび、年の瀬の自分の決意を確認しています。
熊手の価格は、自分の決意の価でもあるのです。
そう考えると、お店の人がイヤな気持ちになるまで値切りたおすのは、スマートじゃないですよね。
値下げ交渉をした上で、最初の言い値をぽんと払う、というのが粋な買い方といわれているのも、なんとなくわかる気がします。
お店の人の顔がいいところで買いたい
熊手を買い始めた10年ほど前、最初のころは、自分の好みの熊手を買いたくて、あちこち見てまわっていました。特に新宿花園神社など大きなところに行くと、伝統的なタイプからユニークでかわいい変わり熊手までいろいろあるので、目移りしてしまうんですよね。
何年もかけてあちこちで買ううち、買い方についてはひとつ、「こうしよう」と思ったことがあります。
お店の人の顔がいいところから買うのがいいです。
縁起物ですから、気分よく買えるのが一番です。
顔っていうのは、もちろん、美男美女のことじゃないですよ。
ムードというか、オーラというか。
お店の人たちのチームワークがよく、いい雰囲気のいいところがいい。
道行く人に、押しすぎず引きすぎず、さらっと声をかけてくれるところがいい。
目があったときに、にっこりしてくれるのがいい。
あんまりえらそうでもなく、卑屈すぎることもなく。
意外と、声がかけづらいお店もあるものです。
前のお客さんへの対応を見ていて、よさげな感じだったら、もうそこで買っちゃってもいいかな。って思います。
もちろん、高い熊手を無理して買うことはありません。予算にあった熊手を購入してください(だいたい、思っていたより小さいです!)。
いよ〜っ! パパパンパパパンパパパンパン!
手締めをしてくれると気分が上がります。
ちなみに練馬のお酉様では、あまり高額の熊手でなくても景気よく手締めしてもらえることが多く、うれしいポイントです。
今日は、平日の昼間に寄ったら人が並んでいなくて、すいすいとお参りと熊手購入の目的を達することができました。
でも、祭りの雰囲気を味わいたいなら、提灯に火が入る夜がやはりおすすめでしょう。
まわりの商店街がこぞって祭り用の商品を店先に出し、出店も出るので、祭りの雰囲気を味わうためだけに露店をのぞきながら歩くのも楽しいものです。
「熊手は高く掲げて帰るのがいい」とも聞きます。そのほうが福をかきこめるから、というのですが、別の見方をすると、お客さんがみんな酉の市の宣伝をしながら帰ってくれるということでもありますよね、これ。
江戸の人たちの商魂に敬意を表しつつ、熊手を掲げて帰りました。いろんな商売のヒントがここにある気もします。
今年2016年は、11月23日(水・祝)「勤労感謝の日」が二の酉です。お近くのお酉様に出かけてみてはいかがでしょうか。
【参考】
練馬大鳥神社 酉の市
(2016.11.11現在、情報が更新されていません)
【こちらもあわせてご覧ください】
・新しい熊手が我が家にやってきました。(酉の市)
・商売繁盛、家内安全、おとりさま。
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