春分の日の降雪。
マクロ撮影の練習に、雪片を観察しつつ撮影してみました。
針のようなトゲがたくさん、ふわふわ。
絵に描いたような六角形の結晶ではありませんでした。
調べてみたところ、「針状(しんじょう)結晶」と呼ぶかたちのようです。
ミラーレス一眼で撮影した、簡単にできる雪の結晶の撮り方を、自分用メモのためにまとめておきます。
■目次
1.準備するもの
2.撮影に適した場所
3.事前準備
4.カメラの設定
5.雪の結晶の撮り方
6.雪の結晶の撮影でわかること
7.Twitter ハッシュタグ #関東雪結晶 で投稿を
8.カメラでの撮影よりルーペで観察する方が簡単
9.「雪は天から送られた手紙」
1.準備するもの
- 防寒具・雨具
- カメラ(スマホでも撮れるようです)
- 接写できるマクロレンズ(スマホ用の拡大レンズもあるようです)
- 黒い布
- 新聞紙・ビニールなど下に敷くもの
2.撮影に適した場所
ベランダや軒下など、頭上に庇があって、雪が舞い込むところがおすすめです。
自然光が入る明るい場所で、撮影姿勢が撮りやすいところ(できれば手すりやテーブルのように高さのあるところ)に、下に新聞紙やビニールを敷いた上で黒い布を置きます。
真上から撮るより、少し斜めに、向こう側の光を透かすように画面に取り入れて撮れる位置がいいようです。
ベランダの手すりに、黒い布を、外側に落ちないようやや内側を長くしてかけると、いい感じの撮影台になります。
雪が乾いていて、降りかたがひどくないなら、屋外でもいいでしょう。
3.事前準備
(1) 防寒・雨具はしっかりと
撮影に夢中になっていると、どんどん時間が経ち、かなり身体が冷えます。
しっかりあたたかく着込んでおいてください。
(2) カメラの電池とSDカードの空き領域を確認・確保しておく
温度が低いと電池の減りが早いそうです。
また、特に連写で撮影する場合、たくさん枚数を撮るので、SDカードも残り少ないと危険です。
(3) カメラの時計を合わせておく
撮影した日付と時刻の記録になります。ズレていないか確認しましょう。
4.カメラの準備、設定
(1) マクロレンズで撮る
接写ができるレンズが必要です。
- ミラーレス一眼や一眼レフなら、マクロレンズを装着する。あるいはクローズアップレンズなどを使用する
- 接写が得意なコンパクトデジカメを用意する。あれば〝マクロモード〟にしておく
- スマホに、スマホ用拡大レンズを装着する
(2) 露出はアンダーで
露出は-1.0〜-2.0程度のアンダーにします。
背景となる黒い布が黒々と写る暗さにしたほうが、雪の結晶の白さや輝きが引き立ちます。
(3) しっかり絞る
マクロ撮影はピントの合う範囲が狭いので、絞ったほうが雪の結晶がくっきりきれいに写ります。
今回の写真で、私はF8.0にしてみましたが、これでもかなりボケると感じました。
(4) ピントはマニュアルで合わせる
ピントはマニュアル設定にして、事前に、撮影体勢でのぞきこんだ布目などに合わせて、近距離で合わせておきます。
オートにしておくと、ピントが合うべき場所を探して右往左往して、なかなか撮ることができません。
(5) 連写設定にしておく
連写できるカメラは、連写できるように設定しておきます。これも、ピントを合わせるためです。
5.雪の結晶の撮り方
(1) 黒い布を雪が降るところに置く
びしょぬれになってしまわないよう、下に新聞紙かビニールを敷いてから、上に黒い布を置きます。
(2) 雪が舞い落ちたらできるだけ早く撮影
気温にもよりますが、あたたかいとどんどん溶けるので、早く撮ります。
また、寒いと自分の身が長くは持たないので、やはり早く撮ります。
舞い落ちてきた結晶をかたっぱしから撮影します。
撮りながら結晶のかたちが見えてきて、結晶に目が慣れてきます。そうすると、降りたての結晶の「どれを撮ろうか」という選択もしやすくなります。
(3) 身体を前後に微スイングしてピントを合わせる
まず、肘をつく、脇を締める、足場を確保するなどして、できるだけしっかりカメラが揺れないよう体勢を固めてカメラを構えます。
それから、結晶に寄って、大体のピントをつかみます。
そして、ミリ単位で身体を前後に揺らして、ピントを合わせ、合ったところでシャッターを切ります。
連写設定があるときは、ゆっくり身体を動かしながら何枚も撮ると、ブレが少なくピントがほしいところに合っている画像が、出やすくなります。
6.雪の結晶の撮影でわかること
雪の結晶はきれいなので、うまく撮ることができたら、それだけでとても楽しいものです。
また、マクロで撮影してみると、肉眼では気づきにくい細かいつくりがわかります。
ちなみにこの結晶は、「針状(しんじょう)結晶」というかたちのようです。
温度が高く、水蒸気が多いときにできる結晶だそうです。
東京では春なのにびっくりする2度前後の気温でしたが、雪が降る気温としては高めといえるでしょう。
降ってくる途中で、針状の結晶がぶつかりあって、くっつきあい、このように塊になるのだそうです。
また、気温が高いときに降る雪は、結晶同士がくっつきやすいので雪片が大きくなり、ぼたん雪となるのだそうです。
ぼたん雪は、春が近い証とされるそうですが、東京で見る雪は、雪国のように寒くないせいか、このぼたん雪が多い気がします。
もう今年は無理そうですが、次の冬以降に、凍りつくほど寒いときに降った雪を、ぜひ観察してみたいものですね。
7.Twitter ハッシュタグ #関東雪結晶 で投稿を
このように、雪の結晶を観察すると、素人でもいろんなことがわかります。プロとなれば、さらに細かいことがわかるはずです。
気象庁 気象研究所では、研究者の荒木健太郎さんという方が、雪の結晶のかたちから、雲の仕組みを解明しようと、Twitterで #関東雪結晶 というハッシュタグで、雪結晶の写真を募集しているようです。
現在のところ平成30年(つまり今年)まで募集しているようなので、まだ雪の降っているところの方は、応募してみてはいかがでしょうか?
8.カメラでの撮影よりルーペで観察する方が簡単
写真に撮るのも楽しいですが、慣れていないと難しいものです。
「自分のカメラだと接写は無理だなあ」という場合は、無理に撮ることにこだわらず、ルーペ(虫眼鏡)で観察してみるのもいいでしょう。
9.「雪は天から送られた手紙」
北海道大学で雪の研究に取り組み、さまざまん雪の結晶の顕微鏡写真を撮影し、世界で初めて人工雪の製作に成功した中谷宇吉郎博士(1900~1962)は、「雪は天から送られた手紙」といったそうです。
マクロ撮影して、その成り立ちに思いを馳せてみると、僭越ながらその思いが想像できる気がします。
この美しい氷の姿の中に、いろんな情報が詰まっていて、遠い空から旅をして地上に届いたことがわかると思うと、ロマンを感じませんか?
また雪が降ったら、今度はもっと本格的に気温が下がった冬に、雪の結晶の観察をしてみたいものです。
【参考】
・バッテリーの消耗が早い(充電後すぐに「バッテリーを交換してください」と表示された場合は?) - キヤノン
・電池がすぐになくなったり、充電してもすぐ電池がなくなる場合の対処方法 - オリンパス
・雪の面白講座 雪の結晶 - 富山県
・岩槻秀明 著「図解入門 最新気象学のキホンがよ〜くわかる本(第3版)」(2017年)秀和システム
・関東の雪に“楽しく”備える「#関東雪結晶 プロジェクト」 - ナショナルジオグラフィック
・#関東雪結晶 プロジェクト - 気象庁気象研究所
・中谷宇吉郎 雪の科学館(石川県加賀市)
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